2009年10月30日

終末医療

主人公である大企業の社長の息子、黒崎 敏也と、「佐伯総合病院」の若き院長、佐伯 巧巳は、高校時代まで常に近くにいた旧友であった。巧巳は心優しく人の好い性格で、裏表の無い正真正銘の善人である。敏也にとって、それは疎ましく煩わしく、邪魔であったが、人前ではその感情を露わにしなかった。それだけに、負の感情は鬱積し、はちきれそうになっていた。高校を卒業し、それぞれが職に就くと、敏也は佐伯総合病院を潰しにかかる。敏也の根回しにより程近くに建設された大規模医療施設によって、佐伯総合病院は経営危機に陥り、借金がかさんでいく。息も絶え絶えの経営に疲弊し、青息吐息の巧巳の醜態を目にかけるべく、敏也は佐伯総合病院に入ってみた。…しかし、そこにいた巧巳は、苦しい経営に喘ぎながらも、婚約者と、姉と、妹とに囲まれ、慎ましくも幸せな生活を送っていた。予想外の状態に、敏也は憤慨する…そして、決断する。「俺が直接、手を下してやる。俺の手で、お前を二度と這い上がれない絶望のどん底へ、叩き落としてやる…!」    無料体験版ダウンロード