公衆快楽施設 Macht Frei.
2046年6月19日。人が人でなくなり、ただのヒトとなった未来。しかし、日常は現在と変わらず繰り返され……ただそれだけが続いていた。この日が「桜桃忌」であると記憶している人間が何人、いただろうか?三島冴子…彼女はその数少ない例外だった。何故なら、彼女は文学者の作品を全て憶えさせられることだけを課せられた「生体文庫」なのだから。だが、彼女はある日、死を選ぶ。そして彼女が桜散り、実が成る季節にその名を捨て「桜桃」(みざくら)と名乗る時に着るは「喪服」。それらを身に纏うとき、彼女が向かうのは、この世界で許された唯一つの例外的な快楽を得るため場所「公衆安楽施設」。「Macht Frei.」と書かれた門を潜るとき、ただ少女は、刹那的な死と永久の快楽を望む……。 無料体験版ダウンロード