とっぱら 〜ざしきわらしのはなし〜
「おはようございます」朝。俺を起こしてくれたのは、母親でもなく、妹でもなく、幼馴染みでもなく、天使でもなく異世界からの使いでもない――影女だった。――影女?話を聞くと、独り身の男の家に現れ、押しかけ女房よろしく世話を焼いてくれる妖怪らしい。……いや、余計なお世話なんだが。そう――俺は、妖怪にはうんざりしていた。なまじ見えるばっかりに、あんなひどいことになったのだから……。しかも、それで話は終わらなかった。そんな俺の混乱が冷めやらぬうちに、疫病神まで現れやがった。……よりにもよって、疫病神かよ。俺は、ふつうの生活がしたいだけなのに……。どうやら俺は、こいつらから逃れられない運命にあるらしい。――やれやれ。 無料体験版ダウンロード