2011年04月08日

ご奉仕喫茶〜天使にお任せ〜あいり編

朝の陽射しが目に眩しい。変わらない日常と変わらない朝。そんな毎日を繰り返し、少しづつ変わっていくことに違和感を覚えながら、眠り足りない脳を覚醒させる。半目で見ることなく天井を見上げる。霞む瞳が起床を拒否しているせいだろう。高くないはずの天井が今は何よりも遠くに映る。「ん……」目を擦って、ごろりとベッドから起き上がる。シャッ──。カーテンの隙間を大きく開ける。柔らかく射し込んでいた線が窓一杯に広がって、ベッドに照らされる。初夏にしては涼しげな天気。太陽は出てるけど、真っ白い雲が覆って熱を微かに奪っているのか、夏と言うよりも春や秋のほうが天気としてはしっくりくる。ボサボサ頭を掻きながら、鏡の前で髪型をセットする。いつもと変わらぬオオカミヘアー。手グシで済むからコレ便利。適当に部屋干しされている衣服を手に取り、毎朝母親よりもうるさい安眠妨害目覚まし時計を確認。今日は俺の方が早かった。コイツの出番はなしってコトだ。ん。時刻は午前八時を回った。バイト先は喫茶店で開店するのは九時。今から出て行けば、余裕で間に合う距離にあるので問題あるまい。それでも少し早めに出るのが、バイトの身分でありながら信頼されるための第一歩である。「うし、行くか──!」電気のスイッチをOFFにして、自分の体をONへ切り替える。いつもと同じ、なんてこのない朝。だけど。毎日を同じ言葉で装飾し、準備を終えて外に出よう。それが唯一つまらない日常へのスパイスになるって知っているから。「──今日はいいことありそうだ──」    無料体験版ダウンロード