2011年12月02日

鬼畜執事

都内某所―夜のビル街にパトカーのサイレンが鳴り響く……。逮捕された男は新興投資銀行の若き頭取、奥山大地。容疑は彼の妻と娘の殺害。拘置所の独房室で彼は考える―。「どういうことだ?俺が妻と子供を殺しただと!?誰かが俺をハメた……しかし、一体誰が何のために?」そこで彼は思い至る。逮捕直前まで彼はあるプロジェクトに着手していた。D型インフルエンザ治療用の新薬開発への投資である。開発が成功すれば、現在市場を独占している治療薬タミビルを脅かす存在になるだろう……。だとするならば、彼を陥れたのはタミビルを販売している大外製薬の関係者に違いない。主犯は恐らく三名。大外製薬に投資しているマーカス・ヘンリーの頭取、藤村孝雄。共同開発者の東横理科大病院院長、河野宏。タミビルを認可した大物政治家、佐々木源蔵。「確か三人とも……、娘がいたはず……」男の口元が釣り上がり、邪悪な笑みがこぼれる。「くっくっくっ、いいだろう……俺を陥れた連中に俺と同じ地獄を味合わせてやる。奴らの娘は犯して……殺してやる……。」保釈された男は、経歴を偽り、三人の娘が住まうゲーテッドマンションへと乗り込む。その双眸に復讐の念を宿して……。    無料体験版ダウンロード