2012年06月29日

WEDDING BLUE

比奈とは、大学時代からの付き合いだ。喧嘩になってもそのたびに仲直りして、より絆を深めてきた。就職したらすぐに結婚しよう、なんて話もあった。だが、仕事に慣れて社内での責任が増してくれば、忙しくなってしまう。結婚への夢なんて、後回しだ。そんなある日、比奈の様子がおかしいことに気づいた俺は、彼女を問い詰めた。そして互いに素直な気持ちをぶつけ合った後で、言ったのだ。『結婚しよう』と。結婚したって、夫婦喧嘩がある。でも俺は、比奈を愛している。これからも、喧嘩して仲直りして、比奈と一緒に生きていきたい。数十年後にも、比奈と笑い合っていたい。――霧斗くんは、いつも忙しそうだ。私との結婚のために頑張ってくれている、そんなことはわかりきっているから、わがままは言いたくない。だからつい、霧斗くんのお兄さんや会社の先輩、近所の新聞屋のおじさんに、いろんなことを相談してしまう。私や霧斗くんよりも人生経験が豊富な人ばかりだから、頼りにして、甘えてしまって。霧斗くんと結婚できて、私は幸せだ。これからもずっと、霧斗くんと一緒にいたい。数十年後にも、霧斗くんと笑い合っていたい。そう願っているはずなのに――。    無料体験版ダウンロード